乳頭体視床束;乳頭視床束
Fasciculus mammillothalamicus (Vicq d'Azyr)
- Eponyms: Vicq d'Azyr
定義
乳頭視床神経束(MTF)は、乳頭体と前視床を結ぶ、いわば記憶の伝導路である。これはグルタミン酸作動性の経路であり、前視床ニューロンを興奮させることで記憶関連シグナルを伝播させる。この神経束が損傷されると重篤な前向性健忘をきたし、古典的にはコルサコフ症候群との関連が知られている。
経路の概要
起始:内側乳頭核および外側乳頭核。
走行:軸索は視床下部を背側方向に上行する。
分岐:
太い線維 → 乳頭視床神経束 → 前視床。
細い線維 → 乳頭被蓋神経束 → 脳幹網様体構造。
終止:前視床核群(前腹側核および前内側核)における扇状分布。
ペーペズ回路における役割
海馬 → 脳弓 → 乳頭体 → 乳頭視床神経束 → 前視床核群 → 帯状回 → 嗅内皮質 → 海馬
乳頭視床神経束は、乳頭体を介して海馬の記憶情報を伝達する「中間リンク」と位置づけることができる。
参考文献
Hall JE. Guyton and Hall textbook of medical physiology. 14th ed. Philadelphia: Elsevier; 2021.
Saladin KS. Anatomy & physiology: the unity of form and function. 9th ed. New York: McGraw-Hill Education; 2021.