心臓神経叢
Plexus cardiacus
定義
心臓神経叢とは、心臓組織を支配する神経細胞および神経節からなる網状構造を指す。浅部と深部の2つの亜部に分けられる。浅心臓神経叢は大動脈弓と肺動脈幹の間に位置し、深心臓神経叢は大動脈弓と気管分岐部の間に深く挟まれた位置に存在する。
浅・深両心臓神経叢は、交感神経系および副交感神経系の両者から神経線維の供給を受ける。
副交感神経支配は、迷走神経の心臓枝に由来する。これらの枝は節前副交感神経細胞を含み、その細胞体は脳幹における迷走神経背側運動核に起始する。これらの節前線維は、心臓神経叢内または心房壁内に位置する心臓神経節において節後神経細胞の細胞体とシナプスを形成する。その後、節後神経細胞は洞房結節および房室結節、ならびに心房・心室筋に投射する。
交感神経支配は、頸部および胸部の心臓神経から生じる。これらには以下が含まれる。
上頸心臓神経(上頸神経節の内臓枝)
中頸心臓神経(中頸神経節の内臓枝)
下頸心臓神経(下頸神経節または頸胸神経節の内臓枝;星状神経節とも称される)
胸心臓神経(上位4〜5胸部交感神経節の枝)
頸部および胸部の心臓神経は節後交感神経細胞を含み、これらは上述の頸部および胸部交感神経節に起始する。一方、これらの節前交感神経細胞は上位胸髄節の外側灰白柱に起始する。
心臓神経叢からは小心臓枝が分岐し、交感神経および副交感神経の線維を心臓の各組織、すなわち刺激伝導系の結節組織、冠状血管、および心筋に分布させる。
機能的には、副交感神経支配は心拍数を低下させ、心収縮力を減弱させ、冠状動脈を収縮させる。一方、交感神経支配は心拍数および収縮力を増大させる。
なお、心臓神経叢内に存在するその他の神経細胞として、内臓求心性神経細胞が挙げられる。これらは迷走神経の心臓枝および交感神経の頸部・胸部心臓神経を経由して中枢神経系へと信号を伝達する。迷走神経内の副交感神経線維に随伴する内臓求心性線維は、血圧および血液の化学的変化に関する感覚信号を伝達することにより、心臓反射の重要な構成要素をなす。一方、交感神経線維に随伴する内臓求心性線維は、心臓からの虚血性疼痛感覚を交感神経幹へと伝達する。
参考文献
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